2016年5月22日日曜日

社会価値と経済価値の同時創造実現のためのステップ⑤

”本業を通じた社会的価値と経済的価値の同時創造” のステップについて説明しています。

私が考えるそのためのステップは以下のとおり。
① 社会に対する感度を高く保ち、自社が社会から求められるニーズを探る。
② 優先順位を付け、自社が貢献していくニーズを決定する。
③ ②に基づき、社会視点の会社としての大きなビジョンを掲げる。
④ ③に沿って一貫した行動を全社でとる。
⑤ ビジョン達成のために、積極的に社外との連携を進める。
⑥ 情報の開示、社会とのコミュニケーションを積極的にとる。
⑦ 以上のサイクルを定期的にまわす。変化するニーズに応じ、ビジョンも微修正する。
⑧ 可能であれば、モデルケースやルールまで作ってしまう。

前回、やっとこさ⑦まで説明しました。今回は、最後の⑧について説明します。


【⑧ 可能であれば、モデルケースやルールまで作ってしまう】

何度も書いているとおり、社会課題解決に真に貢献していくうえで、活動の永続性は不可欠です。そのために、企業はしっかりと利益を上げ続けていく必要があります。しかし、ただ利益を上げるのではなく利益を上げ「続ける」ことには、大変な困難が伴います。そして、そのための手段こそが「差別化」です。

古典的な経営戦略の世界では、品質(Q)・価格(C)・納期(D)こそが差別化の手段とされてきました。しかし、価格と納期では、もう日本企業は世界で勝てません。一方で、品質では負けないと自負している日本企業ですが、実際には世界で勝てなくなっているのが現状です。一体、何故でしょう?それは、日本企業が、より高い次元の最強の差別化手段を極めて苦手としているからです。最強の差別化の手段、それこそが「ルール・メイキング」です。

例えば、オリンピック・パラリンピックを見てみましょう。オリンピックでは、選手村等々の関連施設で使用される素材に対し、認証が求められています。例えば、農産物にはGAP認証、海産物ではMSC認証、木材ではFSC認証、等々。一方で、こうした国際ルール・認証に疎い日本の業界は、これらの認証をほとんど取得していません。認証取得に必要な時間から考えても、このままいけば「東京で開催されるオリンピック・パラリンピックの選手村で提供される和食の食材が、全て輸入品」というような笑えない事態に、現実に陥りそうです。

出典:東京オリンピック組織委員会Webサイト












もう一つ同じく最近の例として、2018年に発効を控えているEUの「データ保護規則」があります。2018年以降、例えばEU域内から日本に個人データを移転する際、必要な対応をとっていなければ違法とされ、多額の制裁金を課されることとなってしまいます。これは欧州で事業を行う企業にとっては大きなリスクです。しかし、このデータ保護の動きが、IT企業先進の地であるアメリカではなく、EUで起こっているということが実に興味深いところです。欧州は歴史上、個人情報の扱いには極めて過敏な地です。ナチスドイツが個人情報を収集し、ホロコーストの悲劇を生んだことが理由、と以前に聞いたことがあります。

映画『シンドラーのリスト』の一場面 













では、これらの事例が示している事実とは一体何でしょうか?
個人的には、3つほどあると考えています。

① 質だけでは所詮、ルールには勝てない。
② 大義は、ルールを正当化する。
③ 日本の中小企業も、もはやルールと無縁ではいられない。

それぞれについて説明していこうと思いますが、少し長くなってしまったので続きは次回。


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