2016年4月17日日曜日

社会価値と経済価値の同時創造実現のためのステップ①

さてさて、前回の続きです。
CSRは、果たしてコストなのでしょうか?
かつて多くの企業の理解はそうでしたが、今は変わってきています。
「社会課題への貢献」と「企業自身の経済的価値の創造」は、両立するものです。

そして私の持論は、
「特に中小企業こそ、本業を通じて社会価値と経済価値の同時創造を目指すべき!」
ということです。

そのためのステップは、以下のようなものと考えます。
① 社会に対する感度を高く保ち、自社が社会から求められるニーズを探る。
② 優先順位を付け、自社が貢献していくニーズを決定する。
③ ②に基づき、社会視点の会社としての大きなビジョンを掲げる。
④ ③に沿って一貫した行動を全社でとる。
⑤ ビジョン達成のために、積極的に社外との連携を進める。
⑥ 情報の開示、社会とのコミュニケーションを積極的にとる。
⑦ 以上のサイクルを定期的にまわす。変化するニーズに応じ、ビジョンも微修正する。
⑧ 可能であれば、モデルケースやルールまで作ってしまう。


順番に説明します。
まず、①から③のプロセスが適切であれば、そのビジョンは多くの共感を得られます。
社会課題を解決していくというビジョンは、多くの人を惹き付けます。

①の時点では、社会にある課題を広く把握し、社会からのニーズを捉えることが必要です。そのためには、例えば以下のようなものが参考になります。

【国連が昨年策定した「持続可能な開発目標(SDGs)」】
SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、今地球が抱える課題を17の目標と169のターゲットという形で整理しています。
引用元:http://www.globalgoals.org/ja/



















この目標の解説は、以下の冊子が、子供向けですがすごく分かりやすいです。
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/pdf/sdgs_child_friendly.pdf
さらに、これらの目標の達成において、企業は重要なパートナーと位置づけられており、中核事業を通じて貢献することを求められています。そのために、ご丁寧にSDGsを企業の経営戦略と結びつけるための指針まで作成してくれています。
http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/6247/attach/SDC_COMPASS_Jpn_0318_30P.pdf
このSDGsについては、またどこかで解説しようかなぁと思います。

【日本政府の補正予算の概要】
補正予算には、そのときの日本が抱える課題がよく反映されています。
例えば以下の平成27年度の補正予算を見ると、少子高齢化や地方創生など、日本が抱える課題が一目で理解できます。最低限、これだけ目を通しておくのも一つの手です。
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2015/sy271218/hosei271218d.pdf

【事業活動を行っている地域の住民や有識者とのダイアログ】
実際に話しを聞いてみることは、最も確実かつ有効な手段です。恐れる必要はありません。こちらがどこまでも誠実な態度で接しさえれば、相手もそれに応えてくれます。


一方で、課題とニーズを幅広く把握した後に行う②のステップにおいては、「自社の強み(技術や商品力、人材等)」は当然として、
・その社会課題の深刻さと深刻なエリア
・その社会課題の存在が自社事業に与える将来的影響
・その社会課題の解決に伴い生じる市場の規模
・その市場の先行プレイヤーの有無とその影響力
・その市場で活動する非営利のプレイヤーの存在
・その社会課題に対する活動を選択した場合に、自社の売上とコスト両面に与える影響
等々までもシビアに考えておくことが必要です。まさに、経営戦略論の世界です。この②の段階では、自社視点でのメリットも当然ながら考え抜いておく必要があるということです。

社会課題は綺麗ごとでは解決できません。綺麗ごとで解決できるならば、そもそもとっくにその課題は解決されているはずです。真に解決をはかっていくためには、数年、数十年単位での地道な活動が必要となります。そして活動に持続性を持たせるためには、当然ながら活動する組織にも持続性が求められます。持続的であるためには、利益が必要となります。寄付に頼るという理念は崇高ですが、そうした活動は不安的なものになります。やはり安定した利益をあげることは、その社会課題を解決するためにも必要なことであり、そのために②のステップが必要なのです。このことは、先に記した「SDGsコンパス」からも読み取れます。こうしたシビアな検討を経て、その会社特有のビジョンが策定されます。

そんなこんなで、長くなってしまいました。続きは次回。


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